CPPブログ

グローバル調達のリスクと組織対応

CPP資格試験1月期受験に向けて、そろそろ本腰を入れて取り組まれている方も少なくないかと思います。
CPP事務局がお届けするお勉強コラム、本日は、近年ますます関心が高まるグローバル調達のリスクです。

(本コラムは日本能率協会 ものづくりチーム長の安部が過去に執筆したものです。製造業の調達人材に必須の知識を体系化した「調達資格制度(CPP)」のテキストから、特に教育ニーズが高いスキルを紹介していきます。)
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JMA安部のCPP調達コラムシリーズ②

海外とのビジネスでは契約書が権利や義務を主張する根拠となるので、内容に抜けや漏れ、不利になる項目がないようにしたいものです。
国際調達の契約交渉を有利に進めるには、先に契約書の草稿を相手に送ることが大切です。あらかじめ標準契約を用意しておき、その都度改訂して作成する。交渉でもめる部分は社内で事例を蓄積し、妥結ポイントをルール化しておくとよいです。

取引開始後も、維持管理のための活動が欠かせません。相手の経営状況、技術力、納入実績などについて定期的に供給者評価を行います。現地を訪問しての調査も重要です。必要に応じて結果を供給者に開示し改善を要求することで、品質向上だけでなく取引方針の透明性も担保されます。
国内に比べ、海外の供給者は経営や製品に関する正確な情報を入手することが難しいことが多いです。情報収集が不十分だったために、国内の供給者では考えられないような品質問題が発生し、対応を迫られることもあります。リスク低減には、まずは信頼できる供給者を選定することだが、リスクを洗い出し、発生頻度と影響の大きさによって対応策を決めておきましょう。

グローバル調達の主なリスクには、①部材供給の停止あるいは供給難、②価格上昇、③社会的信用・企業イメージの低下があります。対応策としては、2つ以上の国・地域に発注を分散してカントリーリスクなどを避ける、原料価格の変動を避けるために長期契約を結ぶ、為替レートの変動に備え為替予約をする、などが挙げられます。
経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)によって関税障壁が低くなれば、世界的な視野で調達を最適化する動きが加速するだろう。グローバル調達のメリットを大きくするには輸送ルートや手段、保管倉庫の割り当て、リードタイム短縮による在庫削減などサプライチェーン全体の管理が求められます。

調達担当者には、輸出入にかかわる貿易実務や、国際契約、国際物流など幅広い知識が必要です。当然、世界情勢への理解や語学力、タフな交渉力も求められます。また現在は、開発・設計段階から調達部門が参画し、商品の競争力となるQCD(品質・コスト・納期)をつくりこむようになっています。開発・設計担当者が実現したい機能に対して、世界中の供給者と資材から最適な組み合わせを提案するには、技術的な素養をもつ人材を確保しなければなりません。

このように、グローバル調達は高度なスキルとマネジメント力が必要な業務なので、専門組織をつくって対応する企業も少なくありません。また、調達市場の大きい地域に国際調達事務所(IPO)を設け、海外拠点で調達ネットワークを構築している企業もあります。しかし、調達機能を専門組織に集中したゆえに、全社的にみれば意思決定のルートが延び事業遂行上のスピード感に欠けるなどのデメリットもあるのも事実です。海外調達拠点も、その運営には膨大なコストが発生する。効果と費用を検討し、自社に適した組織づくりと人材育成を行うことも重要な調達戦略の一つです。

~コラム②おわり~

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